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お金のおはなし

Pythonで学ぶアルゴリズム取引と機械学習:初心者から上級者まで


アルゴリズム取引と機械学習を理解することは、金融市場での成功の鍵となります。

習得できるスキル

この方法をマスターすれば、一定のルールにより取引のバックテストまでPythonコードで行うことができるようになります。
バックテストを繰り返し精度を高めて自分だけの取引黄金ルールを作りましょう。

アルゴリズム取引とは

アルゴリズム取引は、事前に定義されたルールに基づいて自動的に取引を行う方法です。

これには、市場のデータを分析し、特定の条件が満たされたときに売買注文を出すプログラムが含まれます。

このアプローチにより、感情に左右されることなく、迅速かつ効率的に取引を行うことができます。

Pythonは、その読みやすい構文と豊富なライブラリにより、アルゴリズム取引に最適なプログラミング言語です。

特に、データ分析、数学的計算、機械学習に関連するライブラリが充実しており、これらはアルゴリズム取引の開発に不可欠となっています。

基本的な取引戦略の概要

アルゴリズム取引戦略は、市場データに基づいて売買のタイミングを決定します。

例えば、移動平均線のクロスオーバーを利用した戦略や、特定の価格レベルでの売買などがあります。

以下は、Pythonを使用して簡単な移動平均クロスオーバー戦略を実装する例です。

この戦略では、短期移動平均が長期移動平均を上回ったときに買い、逆に下回ったときに売ります。

条件に関しては上級になればなるほど付加させていくことができるのでまずは基礎の考え方を身につけてください。

import yfinance as yf
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt

# 株価データの取得
data = yf.download('AAPL', start='2020-01-01', end='2020-12-31')
data['SMA50'] = data['Close'].rolling(window=50).mean()
data['SMA200'] = data['Close'].rolling(window=200).mean()

# シグナルの生成(修正部分)
data.loc[data['SMA50'] > data['SMA200'], 'Signal'] = 1
data.loc[data['SMA50'] < data['SMA200'], 'Signal'] = -1
data['Signal'] = data['Signal'].fillna(0)

# 戦略のパフォーマンスの可視化
plt.figure(figsize=(12,8))
plt.plot(data['Close'], label='AAPL')
plt.plot(data['SMA50'], label='50SMA')
plt.plot(data['SMA200'], label='200SMA')
plt.plot(data['Signal'], label='Signal-2')
plt.legend()
plt.show()

このコードは、Appleの株価データを取得し、50日と200日の単純移動平均(SMA)を計算します。

移動平均のクロスオーバーに基づいて取引シグナルを生成し、これらをグラフに表示します。

この戦略は非常に基本的なものであり、アルゴリズム取引の基本的な概念を理解するのに役立ちます。

注意

実際の取引にはさらに多くの要素が必要です。

アルゴリズム取引の重要な概念

アルゴリズム取引の基礎に関する理解を深めるために、いくつかの重要な概念を確認しましょう。

これらはアルゴリズム取引戦略を開発する上で基本となる要素です。

  1. データ分析:
    • アルゴリズム取引では、市場データの分析が不可欠です。これには価格、ボリューム、時系列データなどが含まれます。
    • データを分析し、市場のトレンドやパターンを特定することが重要です。
  2. 戦略の開発:
    • 取引戦略は、特定の市場条件下での売買のルールを定義します。
    • 例えば、特定の技術指標に基づく戦略、ニュースイベントに反応する戦略などがあります。
  3. バックテスト:
    • 開発した戦略を過去の市場データに適用し、その効果を評価するプロセスです。
    • バックテストは、戦略の有効性を評価し、リスクを理解するのに役立ちます。
  4. リスク管理:
    • 取引には常にリスクが伴います。リスクを管理し、損失を最小限に抑える戦略を立てることが重要です。
    • ストップロス注文やポジションサイジングなどがリスク管理の一例です。

Pythonでのバックテストの例

次に、Pythonを使用して簡単なバックテストを行う例を示します。

ここでは、先ほどの移動平均クロスオーバー戦略を使用します。

import yfinance as yf
import pandas as pd

# 株価データの取得
data = yf.download('AAPL', start='2020-01-01', end='2020-12-31')
data['SMA50'] = data['Close'].rolling(window=50).mean()
data['SMA200'] = data['Close'].rolling(window=200).mean()

# シグナルの生成
data['Signal'] = 0
data.loc[data['SMA50'] > data['SMA200'], 'Signal'] = 1
data.loc[data['SMA50'] < data['SMA200'], 'Signal'] = -1

# バックテストの実行
data['Position'] = data['Signal'].shift(1)
data['Returns'] = data['Close'].pct_change()
data['Strategy'] = data['Returns'] * data['Position']

# 累積リターンの計算
data['Cumulative Returns'] = (1 + data['Strategy']).cumprod()

# 結果の表示
print(data[['Close', 'Cumulative Returns']].tail())
このコードは、移動平均クロスオーバー戦略に基づいて、Appleの株価データに対するバックテストを行なっています。

教師なし学習を用いた取引戦略

次のステップでは、より高度なアルゴリズム取引戦略の開発に焦点を当てます。

ここでは、特に「教師なし学習を用いた取引戦略」と「リスク管理」について詳しく見ていきましょう。

教師なし学習は、ラベル付けされていないデータからパターンや関係性を見つけ出す機械学習の一種です。

金融市場においては、株価の動きや市場の状態を理解するために有用です。

クラスタリングを用いた戦略

  1. データの準備:
    • S&P 500などの株価データを収集します。
    • 各株について、技術指標や基本的な指標を計算します。
  2. クラスタリング:
    • 教師なし学習の一種であるクラスタリングアルゴリズム(例:K-means)を使用して、株を似た特性を持つグループに分類します。
  3. 戦略の適用:
    • 各クラスタから代表的な株を選び、それらに基づいて取引戦略を構築します。

リスク管理

リスク管理は、潜在的な損失を最小限に抑えるための戦略です。以下にいくつかの一般的なリスク管理手法を紹介します。

  1. ストップロスとテイクプロフィット:
    • 損失が一定のレベルに達した場合、または利益が目標に達した場合に自動的にポジションを閉じる注文です。
  2. ポジションサイジング:
    • 取引する際のポジションの大きさを、リスク許容度に基づいて決定します。
  3. 多様化:
    • 投資ポートフォリオを多様化することで、特定の市場や資産クラスのリスクを分散します。

実装例

以下に、Pythonでの簡単なクラスタリングとリスク管理の実装例を示します。この例では、実際のデータを用いたクラスタリングは行いませんが、基本的な概念を理解するための出発点となります。

from sklearn.cluster import KMeans
import numpy as np

# 仮想的な株価データの生成(例)
data = np.random.rand(100, 5)  # 100株、5つの特徴

# K-meansクラスタリングの適用
kmeans = KMeans(n_clusters=5)
kmeans.fit(data)
labels = kmeans.labels_

# クラスタリング結果の確認
print(labels)

# リスク管理の基本的な考え方(例)
def calculate_position_size(account_balance, risk_per_trade):
    return account_balance * risk_per_trade

# アカウントバランスとリスク許容度に基づいてポジションサイズを計算
account_balance = 10000  # 仮のアカウントバランス
risk_per_trade = 0.01  # トレードあたりのリスクは1%
position_size = calculate_position_size(account_balance, risk_per_trade)
print(position_size)

このコードを実行すると

[0 1 1 0 4 3 4 1 0 1 2 1 1 2 0 1 1 0 0 3 0 2 1 4 1 2 4 1 0 1 1 0 2 4 3 1 4
 3 4 4 2 1 1 4 3 4 2 4 4 3 0 0 3 1 2 1 1 0 3 1 2 0 2 2 3 4 3 2 1 4 1 0 2 3
 0 2 1 3 1 4 3 4 4 1 2 0 2 2 4 3 2 0 0 4 4 1 2 3 0 4]
100.0

このような出力結果が返ってきます。

この出力結果は、クラスタリングアルゴリズム(この場合はK-means)を用いて生成されたデータのクラスタリング結果と、リスク管理のためのポジションサイズ計算結果を示しています。

クラスタリング結果の解釈

  • 出力された数字の配列(例:[0 1 1 0 4 3 4 1 0 1 2 ...])は、各データポイントが割り当てられたクラスタを表しています。
  • この例では、kmeans = KMeans(n_clusters=5)としているため、5つのクラスタ(0から4までのラベル)が生成されています。
  • 各数字は、対応するデータポイントがどのクラスタに属しているかを示しています。例えば、最初のデータポイントはクラスタ0に、次のデータポイントはクラスタ1に属しています。

ポジションサイズ計算結果の解釈

  • print(position_size)の出力結果100.0は、計算されたポジションサイズを示しています。
  • この例では、アカウントバランスが10000で、トレードあたりのリスクが0.01(1%)と設定されています。
  • したがって、各トレードでのリスクはアカウントバランスの1%に相当する100(10000の1%)となります。

次のステップでは、クラスタリング結果を実際の市場データに適用し、具体的な取引戦略を構築する方法について説明します。

市場データの取得と前処理

まず、実際の株価データを取得し、それに基づいて特徴を計算します。

ここでは、例としてS&P 500の構成銘柄から有名な5つを使用します。

import yfinance as yf
import pandas as pd
from sklearn.preprocessing import StandardScaler

symbols = ['AAPL', 'MSFT', 'AMZN', 'META', 'GOOGL']
data = pd.DataFrame()

for symbol in symbols:
    stock_data = yf.download(symbol, start='2020-01-01', end='2020-12-31')
    if not stock_data.empty:
        stock_data = stock_data[['Close']]
        stock_data.columns = [symbol]
        data = pd.concat([data, stock_data], axis=1)

# 空のデータフレームをチェック
if data.empty:
    raise ValueError("株価データが空です。データの取得を確認してください。")

# 日次リターンの計算
returns = data.pct_change().dropna()

# 空のデータフレームをチェック
if returns.empty:
    raise ValueError("リターンデータが空です。データの計算を確認してください。")

# データの標準化
scaler = StandardScaler()
scaled_data = scaler.fit_transform(returns)
# K-meansクラスタリングの適用
kmeans = KMeans(n_clusters=3)  # クラスタの数は例として3を選択
kmeans.fit(scaled_data)
labels = kmeans.labels_

# クラスタリング結果の確認
print(labels)

取引戦略の構築

クラスタリング結果に基づいて、各クラスタに対する取引戦略を考えます。

  1. クラスタ毎の特性分析:
    • 各クラスタの株式がどのような特性を持っているか分析します。例えば、あるクラスタが高ボラティリティの株式で構成されている可能性があります。
  2. 戦略の定義:
    • クラスタの特性に基づいて、それぞれのクラスタに適した取引戦略を定義します。例えば、高ボラティリティのクラスタでは短期的な取引を、低ボラティリティのクラスタでは長期的な投資を考えることができます。
  3. リスク管理の統合:
    • 各戦略に対して、適切なリスク管理手法を適用します。これには、ポジションサイジングやストップロスの設定が含まれます。

クラスタリングの実行

次のステップでは、取得した株価データに基づいてクラスタリングを行い、それを利用した具体的な取引戦略の構築に進みます。

ここでは、クラスタリングの結果を分析し、それぞれのクラスタに適した取引戦略を考案するプロセスを紹介します。

まず、前のステップで標準化した株価リターンデータにクラスタリングを適用します。

from sklearn.cluster import KMeans

# K-meansクラスタリングの適用
kmeans = KMeans(n_clusters=3)  # クラスタの数は例として3を選択
kmeans.fit(scaled_data)
labels = kmeans.labels_

# クラスタリング結果の確認
print(labels)

クラスタリング結果の分析

クラスタリングの結果を受け、これらのクラスタに基づいて具体的な取引戦略を構築します。

実際にクラスタリング結果を分析し、それぞれのクラスタに適した取引戦略を考案するプロセスを紹介しましょう。

# 各クラスタの株式を特定
clustered_data = pd.concat([data, pd.Series(labels, index=data.index, name='Cluster')], axis=1)

# クラスタ毎の特性分析
for i in range(kmeans.n_clusters):
    cluster_members = clustered_data[clustered_data['Cluster'] == i]
    print(f"Cluster {i} Members:")
    print(cluster_members)

次に、各クラスタの特性に基づいて、適切な取引戦略を定義します。

# 例: クラスタ毎に異なる取引戦略を考案
# これは単なる例であり、実際の戦略は市場の分析とテストが必要です
strategies = {
    0: "短期取引戦略",
    1: "長期投資戦略",
    2: "分散投資戦略"
}

for i in range(kmeans.n_clusters):
    print(f"Cluster {i} Strategy: {strategies[i]}")

各戦略に対して適切なリスク管理手法を組み込みます。

# 例: リスク管理パラメータの設定
# 実際の取引では、リスク許容度に基づいてこれらを調整する必要があります
risk_management = {
    "stop_loss": 0.05,  # ストップロス 5%
    "take_profit": 0.10  # テイクプロフィット 10%
}

print(f"Risk Management Parameters: {risk_management}")

最後に、定義した戦略を過去のデータに適用し、バックテストを行います。

# バックテストの実施
# この部分は、実際の取引戦略と市場データに基づいて実装する必要があります
# 以下は単なる例です
for i in range(kmeans.n_clusters):
    print(f"Performing backtest for Cluster {i} with {strategies[i]} strategy...")
    # ここにバックテストのロジックを実装

エラーのデバッグ

エラーが出る場合、pd.concatを使用してdataデータフレームとlabelsシリーズを結合しようとした際に、両者の長さが一致していないためにエラーが発生している可能性が高いです。

これは、dataデータフレームとlabelsシリーズの行数が異なることが原因です。

この問題を解決するためには、labelsシリーズを作成する前に、dataデータフレームから欠損値を含む行を削除するか、またはlabelsシリーズの長さをdataデータフレームの長さに合わせる必要があります。

# dataデータフレームから欠損値を含む行を削除
data = data.dropna()

# K-meansクラスタリングの適用
kmeans = KMeans(n_clusters=3)
kmeans.fit(data)
labels = kmeans.labels_

# 各クラスタの株式を特定
clustered_data = pd.concat([data, pd.Series(labels, index=data.index, name='Cluster')], axis=1)

# クラスタ毎の特性分析
for i in range(kmeans.n_clusters):
    cluster_members = clustered_data[clustered_data['Cluster'] == i]
    print(f"Cluster {i} Members:")
    print(cluster_members)

取引戦略を確認

まず、クラスタリングで得られた各クラスタの特性を分析し、それぞれに適した取引戦略を考案します。

# 各クラスタの特性を分析
for i in range(kmeans.n_clusters):
    cluster_members = clustered_data[clustered_data['Cluster'] == i]
    # ここで各クラスタの特性を分析します
    # 例: 平均リターン、ボラティリティ、業種分布など

# クラスタ毎に異なる取引戦略を考案
# これは単なる例であり、実際の戦略は市場の分析とテストが必要です
strategies = {
    0: "短期取引戦略",
    1: "長期投資戦略",
    2: "分散投資戦略"
}

各戦略に対して適切なリスク管理手法を組み込みます。

# リスク管理パラメータの設定
risk_management = {
    "stop_loss": 0.05,  # ストップロス 5%
    "take_profit": 0.10  # テイクプロフィット 10%
}

定義した戦略を過去のデータに適用し、バックテストを行います。

# バックテストの実施
# この部分は、実際の取引戦略と市場データに基づいて実装する必要があります
# 以下は単なる例です
for i in range(kmeans.n_clusters):
    print(f"Performing backtest for Cluster {i} with {strategies[i]} strategy...")
    # ここにバックテストのロジックを実装

次のように出力されるはずです。

Performing backtest for Cluster 0 with 短期取引戦略 strategy...
Performing backtest for Cluster 1 with 長期投資戦略 strategy...
Performing backtest for Cluster 2 with 分散投資戦略 strategy...

​

注意点

  • このプロセスは、クラスタリング結果を利用して取引戦略を構築する一例です。
  • 実際の取引戦略の開発には、市場の詳細な分析、リスク管理、そして多くのテストが必要です。
  • バックテストは過去のデータに基づいているため、将来の市場動向を正確に予測するものではありません。

バックテストの実施

バックテストを行うには、まず戦略に従って取引シグナルを生成し、それに基づいてリターンを計算します。

まずは各クラスタに対して定義した戦略に基づいて、取引シグナルを生成しましょう。

ここでは、簡単な移動平均クロスオーバー戦略を例にします。

# AAPLの移動平均の計算
data['AAPL_SMA50'] = data['AAPL'].rolling(window=50).mean()
data['AAPL_SMA200'] = data['AAPL'].rolling(window=200).mean()

生成したシグナルに基づいて、戦略のリターンを計算します。

# シグナルの生成
data['AAPL_Signal'] = 0
data.loc[data['AAPL_SMA50'] > data['AAPL_SMA200'], 'AAPL_Signal'] = 1
data.loc[data['AAPL_SMA50'] < data['AAPL_SMA200'], 'AAPL_Signal'] = -1

戦略の累積リターンを計算し、市場のリターンと比較します。

# 戦略のリターン計算(修正版)
data['AAPL_Return'] = data['AAPL'].pct_change()
data['AAPL_Strategy_Return'] = data['AAPL_Return'] * data['AAPL_Signal'].shift(1)

# 累積リターンの計算
data['AAPL_Cumulative_Strategy_Return'] = (1 + data['AAPL_Strategy_Return']).cumprod()
data['AAPL_Cumulative_Market_Return'] = (1 + data['AAPL_Return']).cumprod()

# 結果のプロット
plt.figure(figsize=(10, 6))
plt.plot(data['AAPL_Cumulative_Strategy_Return'], label='AAPL Strategy Return')
plt.plot(data['AAPL_Cumulative_Market_Return'], label='AAPL Market Return')
plt.legend()
plt.show()

バックテスト結果の分析

バックテストの結果を分析する際には、以下のような指標を考慮します。

  1. 累積リターン:
    • 戦略と市場の累積リターンを比較して、戦略のパフォーマンスを評価します。
  2. ドローダウン:
    • 戦略の最大ドローダウン(最大の一時的な損失)を計算し、リスクを評価します。
  3. シャープレシオ:
    • リターンのリスク調整測度としてシャープレシオを計算します。これは、リスクフリーレートを超えるリターンをリスク(標準偏差)で割ったものです。

ドローダウンの計算

ドローダウンは、ピークからトラフまでのリターンの減少を測定します。

# ドローダウンの計算
data['AAPL_Max'] = data['AAPL_Cumulative_Strategy_Return'].cummax()
data['AAPL_Drawdown'] = data['AAPL_Cumulative_Strategy_Return'] - data['AAPL_Max']
data['AAPL_Drawdown_Percentage'] = data['AAPL_Drawdown'] / data['AAPL_Max']

シャープレシオの計算

シャープレシオは、リスクフリーレートを超えるリターンのリスク調整測度です。

# シャープレシオの計算
risk_free_rate = 0.01  # 仮のリスクフリーレート
AAPL_Strategy_Return_std = data['AAPL_Strategy_Return'].std()
AAPL_Sharp_Ratio = (data['AAPL_Strategy_Return'].mean() - risk_free_rate) / AAPL_Strategy_Return_std

これらをまとめると次のようなコードになります。

import matplotlib.pyplot as plt

# 累積リターンのプロット
plt.figure(figsize=(10, 6))
plt.plot(data['AAPL_Cumulative_Strategy_Return'], label='AAPL Strategy Return')
plt.plot(data['AAPL_Cumulative_Market_Return'], label='AAPL Market Return')
plt.title('Cumulative Returns')
plt.legend()
plt.show()

# ドローダウンのプロット
plt.figure(figsize=(10, 6))
plt.plot(data['AAPL_Drawdown_Percentage'], label='AAPL Drawdown')
plt.title('Drawdown')
plt.legend()
plt.show()

# シャープレシオの表示
print(f"AAPL Sharp Ratio: {AAPL_Sharp_Ratio}")

戦略に対するシャープレシオが -1.025927041931434 であることは、以下のことを意味します:

  1. 負のシャープレシオ:
    • シャープレシオが負であることは、戦略のリターンがリスクフリーレート以下であることを示しています。つまり、この戦略はリスクフリーな投資(例えば国債など)よりも悪いパフォーマンスを示しています。
  2. リスクとリターンの不均衡:
    • 負のシャープレシオは、取られたリスクに対して十分なリターンが得られていないことを示しています。これは、戦略が市場の変動に対して過度に敏感であるか、または不適切な取引決定が行われている可能性があります。

解釈と対策

  • 戦略の見直し: 負のシャープレシオは、戦略の見直しや改善が必要であることを示唆しています。取引ルール、リスク管理戦略、または対象となる市場の選択を再評価することが考えられます。
  • 市場条件の影響: 特定の市場条件下でのみ有効な戦略である可能性があります。異なる市場環境や期間でのバックテストを行い、戦略の堅牢性を評価することが重要です。
  • リスク管理の強化: リスク管理戦略を見直し、損失を制限するための手段(例:ストップロスの設定)を強化することが効果的です。
シャープレシオは戦略の一側面を示すものであり、全体的な評価には他の指標(ドローダウン、勝率、損益比など)も併せて考慮することが重要です。

RSIでのルール設定で再テスト

では例えばRSIが30を下回った時に買い、70を超えた時に売る。 許容ドローダウンは−8%で利確は3%。 他はすべて同じ条件でここまでの計算と評価のコードをまとめてみます。

import yfinance as yf
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
# 株価データの取得
data = yf.download('AAPL', start='2020-01-01', end='2021-01-01')

# RSIの計算
def calculate_rsi(data, window=14):
    delta = data['Close'].diff()
    gain = (delta.where(delta > 0, 0)).rolling(window=window).mean()
    loss = (-delta.where(delta < 0, 0)).rolling(window=window).mean()

    rs = gain / loss
    rsi = 100 - (100 / (1 + rs))
    return rsi

data['RSI'] = calculate_rsi(data)
# 取引シグナルの生成(修正版)
data['Signal'] = 0
data.loc[data['RSI'] < 30, 'Signal'] = 1  # RSIが30を下回ったら買い
data.loc[data['RSI'] > 70, 'Signal'] = -1  # RSIが70を超えたら売り
# 戦略のリターン計算
data['Return'] = data['Close'].pct_change()
data['Strategy_Return'] = data['Return'] * data['Signal'].shift(1)

# 累積リターンとドローダウンの計算
data['Cumulative_Return'] = (1 + data['Strategy_Return']).cumprod()
data['Max_Return'] = data['Cumulative_Return'].cummax()
data['Drawdown'] = data['Cumulative_Return'] - data['Max_Return']
data['Drawdown_Percentage'] = data['Drawdown'] / data['Max_Return']
# 利確とストップロスの適用(修正版)
take_profit = 0.03  # 利確は3%
stop_loss = -0.08  # ストップロスは-8%

data['Cumulative_Return_Shifted'] = data['Cumulative_Return'].shift(1)
data['Return_since_entry'] = data['Cumulative_Return'] / data['Cumulative_Return_Shifted'].where(data['Signal'].shift(1) == 1, np.nan)

data['Exit_Signal'] = 0
data.loc[(data['Return_since_entry'] >= 1 + take_profit) | (data['Return_since_entry'] <= 1 + stop_loss), 'Exit_Signal'] = 1
data.loc[data['Exit_Signal'] == 1, 'Signal'] = 0
# 結果のプロット
plt.figure(figsize=(12, 8))
plt.plot(data['Cumulative_Return'], label='Strategy Cumulative Return')
plt.plot(data['Max_Return'], label='Max Return')
plt.fill_between(data.index, data['Cumulative_Return'], data['Max_Return'], where=data['Max_Return'] > data['Cumulative_Return'], color='red', alpha=0.3)
plt.legend()
plt.show()
# シャープレシオの計算
risk_free_rate = 0.01  # 仮のリスクフリーレート
strategy_return = data['Strategy_Return'].dropna()
mean_strategy_return = strategy_return.mean()
std_strategy_return = strategy_return.std()

sharp_ratio = (mean_strategy_return - risk_free_rate) / std_strategy_return

# シャープレシオの出力
print(f"Sharp Ratio: {sharp_ratio}")

Sharp Ratio: -0.7512431521301022ですので少しだけ改善されたことがわかります。

勝率と損益比の計算

勝率と損益比を計算して、戦略の効率性を評価します。

# 勝ちトレードと負けトレードの識別
data['Trade_Return'] = data['Strategy_Return'] * data['Signal'].shift(1)
data['Win'] = data['Trade_Return'] > 0
data['Loss'] = data['Trade_Return'] < 0

# 勝率の計算
win_rate = data['Win'].mean()

# 損益比の計算
average_win = data[data['Win']]['Trade_Return'].mean()
average_loss = data[data['Loss']]['Trade_Return'].mean()
profit_loss_ratio = average_win / abs(average_loss)

print(f"Win Rate: {win_rate}")
print(f"Profit/Loss Ratio: {profit_loss_ratio}")

RSIの閾値や利確・ストップロスのレベルを調整して、戦略のパフォーマンスを最適化します。

# RSIの閾値を変更してテスト
rsi_lower_thresholds = [25, 30, 35]
rsi_upper_thresholds = [65, 70, 75]

for lower in rsi_lower_thresholds:
    for upper in rsi_upper_thresholds:
        # RSIに基づくシグナルの生成
        data['Signal'] = 0
        data.loc[data['RSI'] < lower, 'Signal'] = 1
        data.loc[data['RSI'] > upper, 'Signal'] = -1
        # 戦略のリターン計算
        # ...
        # パフォーマンス指標の計算
        # ...
        print(f"RSI Lower: {lower}, Upper: {upper}, Performance: ...")

ポジションサイジングと最大ドローダウンの制限を設定します。

# ポジションサイジングの例
max_risk_per_trade = 0.02  # トレードごとの最大リスク

# 最大ドローダウンの制限
max_drawdown_limit = -0.15  # 最大ドローダウンの制限


# リスクフリーレートの設定(例: 年間1%)
risk_free_rate = 0.01 / 252  # 日次リターンに変換

# 戦略の日次リターンの平均と標準偏差の計算
strategy_return_mean = data['Strategy_Return'].mean()
strategy_return_std = data['Strategy_Return'].std()

# シャープレシオの計算
sharp_ratio = (strategy_return_mean - risk_free_rate) / strategy_return_std

print(f"Sharp Ratio: {sharp_ratio}")

シャープレシオが少し改善されたことがわかると思います。

期間を変えて異なる条件でのバックテストを繰り返してください。

GARCHモデルの理解と実装

GARCHモデルとは

  • GARCH(Generalized Autoregressive Conditional Heteroskedasticity)モデルは、時間とともに変化する金融市場のボラティリティ(価格変動の不確実性)をモデル化するために使用されます。
  • このモデルは、過去の価格データから将来のボラティリティを予測するのに役立ちます。

実装

まず、archパッケージをインストールするためには、以下のコマンドを使用します。

このコマンドはPythonのパッケージマネージャーであるpipを使用して実行します。

pip install arch
  • Pythonのarchパッケージを使用してGARCHモデルを実装できます。
  • モデルのパラメータ(例えば、ラグの数)を設定し、過去の価格データにフィットさせます。
  • モデルを用いて将来のボラティリティを予測します。
import yfinance as yf
from arch import arch_model

# yfinanceを使用して株価データを取得(例: AAPL)
data = yf.download('AAPL', start='2020-01-01', end='2021-01-01')

# 日次リターンの計算
returns = 100 * data['Close'].pct_change().dropna()

# GARCH(1,1)モデルの定義とフィット
garch_model = arch_model(returns, vol='Garch', p=1, q=1)
model_result = garch_model.fit()

# モデルのサマリーの表示
print(model_result.summary())

このコードは、yfinanceを使用してAAPLの株価データを取得し、日次リターンを計算した後、GARCH(1,1)モデルを定義してフィットさせ、そのサマリーを表示します。

出力結果と解釈

Optimization terminated successfully    (Exit mode 0)
            Current function value: 593.8612457290737
            Iterations: 11
            Function evaluations: 62
            Gradient evaluations: 11
                     Constant Mean - GARCH Model Results                      
==============================================================================
Dep. Variable:                  Close   R-squared:                       0.000
Mean Model:             Constant Mean   Adj. R-squared:                  0.000
Vol Model:                      GARCH   Log-Likelihood:               -593.861
Distribution:                  Normal   AIC:                           1195.72
Method:            Maximum Likelihood   BIC:                           1209.84
                                        No. Observations:                  252
Date:                Tue, Dec 12 2023   Df Residuals:                      251
Time:                        16:27:48   Df Model:                            1
                               Mean Model                               
========================================================================
                 coef    std err          t      P>|t|  95.0% Conf. Int.
------------------------------------------------------------------------
mu             0.3873      0.135      2.860  4.240e-03 [  0.122,  0.653]
                             Volatility Model                             
==========================================================================
                 coef    std err          t      P>|t|    95.0% Conf. Int.
--------------------------------------------------------------------------
omega          0.5635      0.237      2.381  1.725e-02 [9.971e-02,  1.027]
alpha[1]       0.1802  5.579e-02      3.229  1.240e-03 [7.082e-02,  0.290]
beta[1]        0.7549  4.912e-02     15.369  2.630e-53   [  0.659,  0.851]
==========================================================================

Covariance estimator: robust

この例では出力結果がこのようになるはずです。

GARCHモデルの結果を解釈するには、モデルの各コンポーネントを理解することが重要です。

以下に、主要な部分の解説を行います。

Dep. Variable(従属変数)
このモデルではCloseが従属変数として使用されています。
これは、モデルが株価の終値の日次リターンを分析していることを意味します。
Mean Model(平均モデル)
mu: 平均方程式の定数項。
この値は日次リターンの平均値を示しており、ここでは約0.3873です。
Volatility Model(ボラティリティモデル)
omega: GARCHモデルの定数項。ボラティリティの基本レベルを示しており、ここでは約0.5635です。
alpha[1]: GARCHモデルのalphaパラメータ。過去の誤差項の影響を示し、ここでは約0.1802です。これは短期的なボラティリティの変動に影響を与えます。
beta[1]: GARCHモデルのbetaパラメータ。
過去のボラティリティの影響を示し、ここでは約0.7549です。
これは長期的なボラティリティの傾向に影響を与えます。
Log-Likelihood: モデルの対数尤度
モデルのフィットの良さを示します。
ここでは、-593.861です。
AIC/BIC: モデルの適合度を示す統計量
AIC(赤池情報量基準)とBIC(ベイズ情報量基準)は、モデルの複雑さとデータへの適合度をバランスさせるために使用されます。
小さい値ほど良いモデルを示します。

解釈

  • ボラティリティの動的な変動: GARCH(1,1)モデルは、株価のボラティリティが時間とともに動的に変動することを示しています。αとβの値は、それぞれ短期と長期のボラティリティの影響を示しています。
  • モデルの適合度: AICとBICの値は、モデルの適合度を示しています。これらの値を他のモデルと比較することで、最も適切なモデルを選択できます。
注意

GARCHモデルは、市場のボラティリティを予測するための一つの方法ですが、市場の予測は常に不確実性を伴います。

技術指標と組み合わせて日次シグナルを生成

技術指標の選択

  • RSI(Relative Strength Index)、MACD(Moving Average Convergence Divergence)などの技術指標を選択します。
  • これらの指標は、市場の過熱や過冷却を示唆し、取引のタイミングを特定するのに役立ちます。

筆者は個人的にRSIを頻繁に使用しますのでここではRSIを例に進めていきます。

import yfinance as yf
from arch import arch_model

# RSIの計算関数
def calculate_rsi(data, window=14):
    delta = data['Close'].diff()
    gain = (delta.where(delta > 0, 0)).rolling(window=window).mean()
    loss = (-delta.where(delta < 0, 0)).rolling(window=window).mean()

    rs = gain / loss
    rsi = 100 - (100 / (1 + rs))
    return rsi

# 株価データの取得
data = yf.download('AAPL', start='2020-01-01', end='2021-01-01')

# 日次リターンの計算
returns = 100 * data['Close'].pct_change().dropna()

# GARCHモデルの定義とフィット
garch_model = arch_model(returns, vol='Garch', p=1, q=1)
model_result = garch_model.fit()

# RSIの計算
data['RSI'] = calculate_rsi(data)

# シグナルの生成(修正版)
data['Signal'] = 0
data.loc[data['RSI'] < 30, 'Signal'] = 1  # RSIが30を下回ったら買い
data.loc[data['RSI'] > 70, 'Signal'] = -1  # RSIが70を超えたら売り


# バックテストのための戦略リターンの計算
data['Strategy_Return'] = data['Close'].pct_change() * data['Signal'].shift(1)

# 累積リターンの計算
data['Cumulative_Return'] = (1 + data['Strategy_Return']).cumprod()

# 結果のプロット
import matplotlib.pyplot as plt

plt.figure(figsize=(10, 6))
plt.plot(data['Cumulative_Return'], label='Cumulative Return')
plt.legend()
plt.show()

バックテスト

import yfinance as yf
import numpy as np
from arch import arch_model

# RSIの計算関数
def calculate_rsi(data, window=14):
    delta = data['Close'].diff()
    gain = (delta.where(delta > 0, 0)).rolling(window=window).mean()
    loss = (-delta.where(delta < 0, 0)).rolling(window=window).mean()

    rs = gain / loss
    rsi = 100 - (100 / (1 + rs))
    return rsi

# 株価データの取得
data = yf.download('AAPL', start='2020-01-01', end='2021-01-01')

# 日次リターンの計算
returns = 100 * data['Close'].pct_change().dropna()

# GARCHモデルの定義とフィット
garch_model = arch_model(returns, vol='Garch', p=1, q=1)
model_result = garch_model.fit()

# RSIの計算
data['RSI'] = calculate_rsi(data)

# シグナルの生成
data['Signal'] = 0
data.loc[data['RSI'] < 30, 'Signal'] = 1  # RSIが30を下回ったら買い
data.loc[data['RSI'] > 70, 'Signal'] = -1  # RSIが70を超えたら売り

# 損切りと利益確定の設定
stop_loss = -0.07
take_profit = 0.05

# 戦略リターンの計算
data['Strategy_Return'] = data['Close'].pct_change() * data['Signal'].shift(1)

# 損切りと利益確定の適用
data['Cumulative_Strategy_Return'] = (1 + data['Strategy_Return']).cumprod()
data['Cumulative_Max'] = data['Cumulative_Strategy_Return'].cummax()
data['Drawdown'] = data['Cumulative_Strategy_Return'] - data['Cumulative_Max']
data['Drawdown_Percentage'] = data['Drawdown'] / data['Cumulative_Max']

# 累積リターン、シャープレシオ、最大ドローダウンの計算
cumulative_return = data['Cumulative_Strategy_Return'].iloc[-1]
sharp_ratio = data['Strategy_Return'].mean() / data['Strategy_Return'].std()
max_drawdown = data['Drawdown_Percentage'].min()

# 勝率と損益比の計算
winning_trades = data[data['Strategy_Return'] > 0]
losing_trades = data[data['Strategy_Return'] < 0]
win_rate = len(winning_trades) / (len(winning_trades) + len(losing_trades))
profit_loss_ratio = winning_trades['Strategy_Return'].mean() / abs(losing_trades['Strategy_Return'].mean())

# 結果の表示
print(f"Cumulative Return: {cumulative_return}")
print(f"Sharp Ratio: {sharp_ratio}")
print(f"Max Drawdown: {max_drawdown}")
print(f"Win Rate: {win_rate}")
print(f"Profit/Loss Ratio: {profit_loss_ratio}")
Optimization terminated successfully    (Exit mode 0)
            Current function value: 593.8612457290737
            Iterations: 11
            Function evaluations: 62
            Gradient evaluations: 11
Cumulative Return: 0.980592776320789
Sharp Ratio: 0.0006996011147762807
Max Drawdown: -0.16754459318767093
Win Rate: 0.5217391304347826
Profit/Loss Ratio: 0.9202288543811836

kotaro
本業は芸術家をしています。
トレードが大好きで、トレードを愛しています。
もっぱらテクニカル分析派で、ファンダメンタルはテクニカル指標に合わせてついてくると確信しています。
芸術家だった祖母と、銀行家だった祖父に育てられ、10代に差し掛かる前から株式投資の本や哲学書を読んでいます。
要介護5だった祖母の介護をきっかけにプログラミングに興味をもち、株式会社ジオセンスのCEO:小林一英氏に弟子入り。
先生の指導のお陰で初心者から約1ヶ月でCを使った温度と湿度を計測して寝返りのタイミングをLEDランプで知らせるデバイスを開発。
現在は金融トレードのためにPythonを中心に知識を増やしています。